高齢者の大腿骨骨折について

1 高齢者の転倒による医療事故

高齢者の転倒事故は、医療事故の形態として頻度が高いものです。 高齢者は転倒し易く、転倒すると、骨折部位の後遺障害、寝たきり、死亡等の重大な健康障害を招くリスクが高いためです。 高齢者の入院治療や在宅での訪問医療・看護を担当している医療・看護従事者は、転倒防止に努める必要があり、そのことはよく認識されています。しかし、単純に注意するだけでは防止できず、十分な効果をあげるには、システマティックな取組みが必要であり、人手不足等の経営上の問題もあるため、事故が頻発し、その一部が医療事故訴訟に発展しているのです。 この分野の医療事故は、毎年、数件のご相談があり、私が現在、訴訟を担当中の事案だけでも2件あります。

2 高齢者の大腿骨骨折

高齢者の転倒が生命予後を大きく悪化させる2大要因として、大腿骨骨折と急性硬膜下血腫等の脳の傷病がありますが、ここでは、頻度が高いと思われる大腿骨骨折についてお話します。 高齢者が転倒すると大腿骨骨折が起こり易く、高齢者に大腿骨骨折が生じると、生命予後が悪化する傾向があることが知られています。 端的に言えば、高齢者の大腿骨骨折は、脳の傷病のように死亡に直結するものではありませんが、死亡率が高い危険な疾患であり、骨折後、1年以内の死亡率が10%強という報告もあります。 このように、高齢者の大腿骨骨折が死に結びつくのは、大腿骨骨折は、寝たきり状態による体力・免疫力・認知機能等の低下を招く場合が多く、そうなると、褥瘡(感染症の原因となる)、誤嚥性肺炎、尿路感染症、深部静脈血栓症等の種々の疾患が発症し易く、最終的には、敗血症等の致死的疾患に進展するからです。

3 医療事故としての大腿骨骨折

高齢者は、筋力低下・認知機能の低下・貧血・睡眠薬等のふらつきをもたらす薬剤の服用等により、転倒し易いだけでなく、看護者・介護者が転倒を防止することも容易ではありません。高齢者は、軽度の転倒で容易に骨折することがあります。 加えて、骨折しても、痛みの訴えが小さいかったり、訴えが遅れるなど、自覚症状が乏しいため、医療・看護従事者側で骨折に気付くのが遅れる傾向があります。 このように、高齢者の転倒による骨折は、医療・看護側から見ると、防止と発見が困難なのですが、患者・家族側から見ると、そのような医学的な事情は、専門家であれば最初から分かっていることであり、そうであるからこそ、防止し、早く発見して欲しいし、そのために医療・看護を受けているということになります。 患者・家族としては、不幸にしてこのような医療事故が生じた場合、まずは、医療・看護側を責めるのではなく、速やかに適切な医療機関で治療を受けることと、転倒・骨折から骨折の発見に至る客観的な事実経過(医療・看護側は、患者の転倒リスク要因をどのように認識しており、どのような転倒防止対策が取られており、転倒後、患者がどこでどうしているのを、いつ、誰がどのように発見したか)について、早期に説明を受け、把握し、記録しておくことが重要です。




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