虫垂炎の検査・診断の遅れ

虫垂炎の診断が遅れたたため、回盲部の広範囲切除が必要となり、就労困難となる下痢等の後遺障害が生じた事案の裁判が勝訴的和解で終了しました。

この裁判の過程で学んだ虫垂炎治療の基本についてお話します。

 

虫垂炎は、急性腹症(手術の要否の検討を要する急性の腹痛の総称)の中では、腸閉塞や胆のう炎等と並んで頻度が高いので、医師は、念頭に置く必要がある。

虫垂炎の典型的な症状は、腹痛(典型的には、強い腹痛の部位が心窩部(みぞおち)から右下腹部に以降する)、食欲不振、嘔気、発熱、血液検査結果における炎症反応(WBC高値、CRP高値)等です。

腹痛の部位が典型的ではないケースも多々あるため、身体所見だけでは判断できず、虫垂炎の疑いが否定できなければ、画像検査が必要です。

虫垂炎は、盲腸の先端である虫垂の炎症によって起こり、初期であれば、保存療法(抗生剤投与)で治療できる場合が多く、最近は直ちに手術せず、

保存療法を行う傾向がある。

治療開始が遅れると、腹膜炎を発症し、生命に影響する危険な疾患であり、炎症範囲が拡大する程、外科手術の必要が高まり、切除範囲も増大する。

虫垂炎切除の手術は頻度が高い一般的な手術であるが、術後の頻回の下痢、癒着、疼痛等の術後合併症が生じることがある。術後合併症は、切除範囲が大きい程生じ易い。

こうした点からも、早期診断・早期治療開始が重要。

最近は、虫垂炎の診断がつくと、まずは保存療法を開始しつつ、手術の要否と時期を検討し、

手術する場合でも、炎症範囲を縮小させ、切除範囲を小さくして手術する傾向がある。

 

本件では、患者が通院していた病院の産婦人科と内科の医師の診断の遅れにより、他病院での緊急手術が必要となり、手術範囲が盲腸から広範囲の小腸に及んだため、

後遺障害が生じたケースです。このようなケースは他にも相当あると思われ、急性腹症に対しては、漫然と経過観察するのではなく、

早い段階から、腹部の触診、CT・エコー検査、血液検査等を行うなど、慎重かつ迅速な対応が要請されます。




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